こんにちは。吹田市・千里山のわに司法書士事務所です。
10月に入り、今年も残すところ3か月となりました。
今年は、不動産登記に関する制度の変更が続いています。
令和8年4月1日からは、これまで任意だった不動産の住所・氏名等の変更登記が義務化され、変更があった場合には、原則として2年以内に変更登記を申請する必要があります。
さらに、令和8年10月からは、法務局が不動産の登記名義人について死亡の事実を把握した場合に、一定の確認を経て、登記記録にその旨を示す仕組みも始まります。
このように、不動産登記を取り巻く制度は少しずつ変わっています。
その中でも、相続に関して特に重要なのが、令和6年4月1日から始まった「相続登記の申請義務化」です。
相続が発生したものの、
・まだ遺産分割の話し合いがまとまっていない
・相続人同士で意見が合わず、不動産を誰が取得するのか決まっていない
・相続人が多く、すぐに相続登記をすることが難しい
このようなケースもあります。
相続登記が義務化された現在では、
「遺産分割が終わっていないから、何もしなくていい」
というわけではありません。
そこで検討できる制度の一つが、「相続人申告登記」です。
相続人申告登記とは、登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを法務局に申し出る制度です。
令和6年4月1日の相続登記義務化と同時に設けられました。
相続人申告登記の申出を、相続登記の申請義務を履行すべき期間内に行うことで、その申出をした相続人については、相続登記の申請義務を履行したものと扱われます。
ただし、相続人申告登記は、通常の相続登記とは異なります。
相続によって誰が不動産を取得したのかを確定させる登記ではなく、申出をした相続人の氏名・住所などが登記されます。
相続分の持分までは登記されません。
相続登記の申請義務は、原則として、
「自分が相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日」
から3年以内に履行する必要があります。
そのため、
「遺産分割がまだ終わっていないから、相続登記について何もしなくていい」
というわけではありません。
遺産分割がまとまらず、通常の相続登記をすぐに申請することが難しい場合には、相続人申告登記を利用することによって、申請義務を履行することができます。
相続人申告登記をする場合には、基本的に、
「亡くなった方が誰であるか」
「申出をする人が相続人であること」
「申出をする人の住所はどこか」
を確認できる書類を用意します。
法務省の案内では、必要書類として大きく「戸籍関係書類」「被相続人の同一性を証する書類」「相続人の住所を証する書類」が挙げられています。
具体的には、次のような書類が中心となります。
まず、法務局へ提出する「相続人申告登記の申出書」を作成します。
申出書には、主に次のような事項を記載します。
・被相続人の氏名
・被相続人の死亡日
・申出人の住所・氏名
・申出人の電話番号
・対象となる不動産に関する事項
申出人の住所・氏名については、住民票等に記載されている内容と一致するよう正確に記載します。
亡くなった方が誰であるか、また、申出人との相続関係を確認するため、戸籍関係書類を用意します。
代表的なものとして、
・戸籍謄本
・除籍謄本
・改製原戸籍
などがあります。
どこまで戸籍を取得する必要があるかは、相続人との関係によって異なります。
例えば、申出人が亡くなった方の子である場合と、兄弟姉妹である場合では、必要となる戸籍の範囲が大きく異なることがあります。
特に兄弟姉妹が相続人となるケースでは、被相続人に子がいないことや、直系尊属がすでに亡くなっていることなどを確認するため、追加の戸籍が必要になる場合があります。
そのため、
「相続人申告登記なら戸籍は少しだけで済む」
と一律に考えるのではなく、相続関係に応じて必要な戸籍を確認することが大切です。
亡くなった方について、登記簿上の所有者と同一人物であることを確認するため、住民票の除票などが必要になります。
通常は、被相続人の最後の住所地の市区町村で取得します。
住民票の除票が取得できない場合には、戸籍の附票によって住所のつながりを確認できる場合もあります。
特に注意したいのが、登記簿に記載されている住所と、亡くなった方の最後の住所が異なるケースです。
このような場合には、住民票の除票や戸籍の附票などを利用して、登記簿上の住所から最後の住所までのつながりを確認する必要が生じることがあります。
相続人申告登記をする本人が、亡くなった方の相続人であることを確認するため、申出人の戸籍謄本・抄本などを提出します。
例えば、亡くなった方の子が申出人となる場合には、親子関係を確認できる戸籍を用意します。
相続人申告登記では、通常の相続登記のように、遺産分割協議によって誰が不動産を取得するのかを確定させる必要はありません。
そのため、申出人が相続人であることを確認できる戸籍関係書類を中心に準備することになります。
申出人の住所を確認するため、住民票などの住所を証する書類が必要になる場合があります。
また、申出書への記載方法によっては、一定の場合に住所証明情報の提出を省略できる仕組みもあります。
どの書類を提出すればよいかについては、実際の申出方法やケースによって確認する必要があります。
司法書士などの代理人に手続きを依頼する場合には、委任状が必要になります。
自分で法務局へ申出をする場合と、司法書士に依頼する場合では、準備する書類や手続きの進め方が異なります。
一般的には、次のような書類を準備することになります。
| 書類 | 主な目的 |
|---|---|
| 相続人申告登記の申出書 | 法務局への申出 |
| 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本等 | 相続関係の確認 |
| 被相続人の住民票の除票等 | 登記名義人との同一性の確認 |
| 申出人の戸籍謄本・抄本等 | 申出人が相続人であることの確認 |
| 申出人の住民票等 | 申出人の住所の確認 |
| 委任状 | 代理人に依頼する場合 |
ただし、これはあくまで一般的な例です。
相続人が誰であるか、被相続人の住所と登記簿上の住所が一致しているか、兄弟姉妹が相続人となっているかなどによって、必要書類は変わります。
相続人が複数いる場合でも、特定の相続人が単独で相続人申告登記の申出をすることができます。
また、他の相続人から委任を受けて、まとめて申出をすることもできます。
そのため、相続人全員の話し合いがまとまっていない場合でも、相続人申告登記を検討できるケースがあります。
ここは特に注意が必要です。
相続人申告登記をしたからといって、将来的に相続登記が不要になるわけではありません。
例えば、後日遺産分割協議が成立し、
「父の不動産は長男が取得する」
と決まった場合には、その内容に基づいて相続登記を申請する必要があります。
相続人申告登記は、あくまで相続登記の申請義務を簡易な方法で履行するための制度です。
遺産分割が成立した場合には、その結果に基づく相続登記が必要になります。
例えば、次のような場合には、相続人申告登記を検討することがあります。
・遺産分割協議がまだまとまっていない
・相続人同士の話し合いに時間がかかっている
・相続人が多い
・相続登記の期限が近づいている
・すぐに通常の相続登記をすることが難しい
ただし、すでに遺産分割協議が成立しているなど、通常の相続登記を進められる場合には、相続人申告登記ではなく、速やかに相続登記を申請することが適切な場合もあります。
相続人申告登記は、通常の相続登記と比べて簡略化された制度ですが、相続関係によっては戸籍をさかのぼって確認する必要があります。
特に、
「父の相続だと思っていたら、先に亡くなっていた子がいた」
「兄弟姉妹が相続人になっている」
「登記簿上の住所と最後の住所が違う」
といったケースでは、必要書類が増えることがあります。
また、相続人申告登記をした後に遺産分割協議が成立した場合には、その内容に応じて改めて相続登記をする必要があります。
「どこまで戸籍を集めればいいのか分からない」
「相続人申告登記で本当に義務を履行できるのか確認したい」
という場合には、相続関係と不動産の登記記録を確認したうえで手続きを進めることをおすすめします。
わに司法書士事務所では、吹田市・千里山をはじめ北摂地域で、相続登記や相続人申告登記に関するご相談を承っています。
「相続登記の期限が気になる」
「遺産分割がまだ決まっていない」
「相続人申告登記を利用した方がいいのか分からない」
「必要な戸籍や書類が分からない」
このような場合も、お気軽にご相談ください。
相続関係や不動産の状況を確認し、必要な手続きについてご案内いたします。